栄養療法

いま知っておきたい”ミネラル”のこと①

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ミネラルは五大栄養素の一つで、人が生きていくうえで欠かすことのできない栄養素です。しかし、体内では作ることが出来ないため、食事などからとるしかなく、ライフスタイルや食生活が乱れていると、ミネラルがより消耗され不足しがちとなり、身体の不調の原因が、実はミネラルが不足しているからということも多くあります。
この記事ではミネラルについて詳しく解説していきます。

 

ミネラルとは?

一般的に有機物に含まれる4元素(炭素 C・水素 H・窒素 N・酸素 O)以外で生物が生存するために必要な栄養素のこと。必須元素や無機質とも呼ばれます。人体を構成する成分として4元素が94~96%、ミネラルは残りの4~6%といわれています。体内のミネラルの量自体はとても少ないのですが、ミネラルはビタミンと同様に代謝に必要な酵素を働きを支えており、身体の機能を正常に動かすためには必要不可欠な栄養素です。また、ミネラルは体内で作ることが出来ず、食事などから摂取する必要があります。現代社会では、インスタント食品やファストフード、食品自体の栄養素の低下によってビタミンと同様にミネラル全般が不足したり、一部のミネラルだけが過剰になりミネラルバランスが乱れていると言われています。※¹

↓ビタミンについてはこちらに記事で詳しく解説しています。

いま知っておきたい”ビタミン”のこと

ミネラルはバランスが非常に重要で、健康状態にある時には酵素やタンパク質、ホルモンによって調整され、一定濃度になるように調整されています。しかし、食生活や環境などの影響によって、1つのミネラルに欠乏や過剰がでると代謝に不具合が起きて身体の不調が出ます。また、有害金属(水銀、鉛など)と呼ばれる健康上の害をもたらす微量元素が身体に蓄積することで、必須ミネラルの吸収や働きを阻害し、代謝などに不具合が起きることで身体の不調が出ることがあります。(有害金属については別の記事で詳しく解説いたします。)
そのため、ミネラルを考えるうえで、必須ミネラルのバランスと、有害金属が体内にどれだけ蓄積しているかが重要になります。※²※³

 

必須ミネラルと参考ミネラル

身体の健康維持に欠かせない16種類のミネラルを必須ミネラルといいます。体内に比較的多く存在し、一日当たりの必要量が100㎎以上の主要ミネラルと、量が少なく1日当たりの必要量が100㎎以下の微量ミネラルに分けられます。さらに当院ではこれに加えて、今後の研究によっては必須ミネラルとなる可能性のあるものや、一部人体に必要となる報告に基づき一部のミネラルを参考ミネラルとして分類しています。

・主要ミネラル(7種類)…ナトリウム Na、カリウム K、カルシウム Ca、マグネシウム Mg、リン P、硫黄 S、塩素 Cl

・微量ミネラル(9種類)…鉄 Fe、亜鉛 Zn、銅 Cu、マンガン Mn、ヨウ素 I、セレン Se、クロム Cr、モリブデン Mo、コバルト Co

・参考ミネラル(5種類)…ケイ素 Si、バナジウム V、ホウ素(臭素) B、リチウム Li、ゲルマニウム Ge

・食事摂取基準が決められているミネラル

ミネラルはビタミンと同様に食事などで摂取しなければならないので、厚生労働省から必須ミネラルから硫黄 S、塩素 Cl、コバルト Coを除く、13種類のミネラルは1日食事摂取基準が定められています。※⁴※⁵

 

ミネラルの機能

ミネラルの働きで良く知られているのがカルシウムです。カルシウムは、歯や骨を作る成分となったり、神経や筋肉を動かす働きがあります。このように他のミネラルにも、身体の一部となったり、ビタミンと一緒に働くことで、酵素をサポートして、身体の機能を正常に保つ働きがあります。

ミネラル同士のバランスも非常に重要です。通常であれば体内のミネラル濃度は一定に保たれています。しかし、特に元素表で近い元素や同族の元素で多いのですが、似た性質を持ったミネラルがあり、一方を摂りすぎると、他方の吸収を阻害する拮抗作用が出てしまうものがあります。例えば、カリウム K/ナトリウム Naや、銅 Cu/亜鉛 Znなどはお互いに拮抗してどちらかが過剰になると吸収を阻害してバランスが崩れるものがあります。こうした拮抗作用のあるミネラル間のバランスは、ときに病気や疾患の重要な指標として使用されることもあります。

 

主要ミネラル

①カルシウム Ca

体内で最も多いミネラルで体重の1.5%がカルシウムと言われています。99%が骨や歯の成分となり、残りの1%が細胞や血液中に存在して様々な機能を果たします。骨はミネラルの貯蔵庫のようなイメージで、身体にカルシウム不足が起きると骨から出したり、余っていれば骨に取り込んだりすることで体内の濃度を調整しています。血中や細胞に存在するCaは、筋肉を収縮させたり、神経の情報伝達の働きがあります。※⁶

・ビタミンDとカルシウム…ビタミンDは腸からカルシウムやリンの吸収を高めて骨の形成や成長を促進する作用があります。ビタミンDは日光を浴びることで体内で作られるので、日光に当たらないとビタミンDが不足し、それによってカルシウム不足を起こすことがあります。

・糖尿病とカルシウム…カルシウムにはインスリンを分泌させる働きがあります。カルシウムが不足すると、この働きが出来なくなり、インスリンの分泌が低下して血糖値が上昇します。この状態が慢性的になると糖尿病の一因となる事もあり、この予防として、カルシウム+ビタミンDを取ることが、糖尿病予防に効果的であるとの報告もでています。※⁷

・炭酸飲料とカルシウム…炭酸飲料や清涼飲料水に酸味料や風味料で含まれているリン酸やクエン酸は歯のエナメル質を溶かすと言われています。酸性の溶けだした分は、唾液から歯へカルシウムが補給されるのですが、カルシウムが不足して補給されないと、歯がすり減り、知覚過敏になったり、虫歯が進行したりします。このように酸で歯が蝕まれることで病的な状態になる事を酸蝕症といい、虫歯、歯周病に続く第3の歯の疾患で、生活習慣病の一つです。※⁸※⁹

・月経前症候群(PMS)とカルシウム…月経による女性ホルモンの変動はカルシウム代謝にも影響しています。PMSの症状と低カルシウム血症の症状はよく類似していて、実際にPMSの女性を対象とした臨床実験で、カルシウムの補給が気分や身体症状の大部分を軽減させたという報告もあります。※¹⁰

カルシウムが欠乏すると

  • 骨や歯が弱くなる(骨粗鬆症、骨軟化症)
  • 精神的異常(情緒不安定、いらいら)
  • 神経障害(認知症、うつ)
  • 筋肉系障害(心不全、痙攣・肩こり)
  • 血管系障害(高血圧、動脈硬化)  など

カルシウムが過剰になると

  • 高カルシウム血症
  • 腎障害  など

カルシウムが含まれる食品

干している食品にはビタミンDが豊富なのでお勧めです!

  • 煮干し
  • しらす干し
  • ししゃも
  • ひじき
  • 昆布
  • 乳製品  など

カルシウムの消耗の原因!

スイーツ、炭酸飲料(清涼飲料水)、ビタミンD不足、ストレス

 

②マグネシウム Mg

全体の60%が骨や歯に、30~40%が筋肉、1%が細胞外液、残りが細胞内に存在しています。骨や歯の構成成分としては強度維持の働きをしています。マグネシウムは約300種類以上の酵素を支えていて、エネルギー代謝・細胞内外のK、Na、Caのミネラル濃度調整・筋肉収縮や神経情報伝達・血圧コントロール、中性脂肪やコレステロールの分解など生きていくうえでなくてはならないさまざまな代謝に関与しています。マグネシウム不足が起きるとカルシウムと同様に骨から取り出して、濃度が一定になるように調整しています。また、カルシウム Ca・リン P・ナトリウム Naを摂りすぎるとマグネシウムの吸収が阻害されて不足する原因となります。※11

生活習慣病とマグネシウム…マグネシウムは、血圧のコントロールや中性脂肪やコレステロールの分解、骨や歯の強度維持に働いているため、慢性的なマグネシウム不足は、心臓病や血管疾患、メタボリックシンドローム、糖尿病、骨粗鬆症などの生活習慣病のリスク要因となります。近年では、食事欧米化が進んでマグネシウムが少ない食事となったことや、精神的・身体的なストレスが増えたことが、生活習慣病が増加した一因と言われています。

アルコール依存症とマグネシウム…マグネシウム欠乏症は慢性アルコール依存症の人に良く見られる疾患です。慢性アルコール依存症の方は、栄養状態が不良で、消化管や腎臓の障害で吸収も阻害されるため、マグネシウムが欠乏して様々な障害に繋がる原因となります。※¹²

マグネシウムが欠乏すると

  • 骨や歯が弱くなる(骨粗鬆症、骨軟化症)
  • 筋収縮異常(不整脈、心疾患、痙攣、筋力低下、こむら返り)
  • 神経疾患
  • 精神疾患  など

マグネシウムが過剰になると

  • 下痢
  • 高マグネシウム血症(筋力低下、呼吸麻痺、意識障害、心疾患)  など

マグネシウムが含まれる食品

  • 青のり
  • わかめ
  • 昆布
  • ごま
  • アーモンド
  • 黄な粉
  • バナナ  など

マグネシウムの消耗の原因!

アルコール、糖質、脂肪、激しい運動、ストレス

 

③リン P

体内で2番目に多いミネラルで体重の1%。80%以上はカルシウム Ca・マグネシウム Mgと結合して歯や骨に存在しています。細胞の膜や遺伝子情報に必要なDNA・RNAの主成分となっています。さらにリンは、身体を動かすときに必須なエネルギーとなるATP(アデノシン三リン酸)の成分となっています。その他にも体液の酸性とアルカリ性のバランスを調整していたり、心臓や腎臓の機能の維持、神経伝達にも働いています。※¹³

リンが欠乏すると

リンは食品中に多く存在していて、食品添加物として使われていることも多くなっているため不足することは少ないと言われています。

  • 骨や歯が弱くなる(骨粗鬆症、骨軟化症)
  • 筋力低下
  • 疲労感、倦怠感  など

リンが過剰になると

リンの濃度が高いと生活習慣病リスクを高める可能性が示唆されています。また、リンとカルシウムは拮抗作用があり、ほぼ同量が良いとされているので、食事でのリンの摂りすぎは注意が必要です。

  • Caの吸収阻害→Ca不足の症状が出る
  • 腎機能障害  など

リンが含まれる食品

  • 乳製品:チーズ、ヨーグルト、牛乳
  • 煮干し
  • するめ
  • しらす干し
  • 卵  など

リンの消耗の原因!

アルコール、スイーツ

 

④ナトリウム Na

約70%は細胞内外液に存在し、約30%が頭蓋骨などの骨格に存在しています。ナトリウムはカリウム Kとともに細胞内・外液の浸透圧の維持に不可欠なミネラルです。食塩(塩化ナトリウム NaCl)として摂取されることが多く、塩分の摂りすぎによるむくみの原因になったりします。その他に、カルシウムなどの吸収の補助、血圧の調整、筋肉の収縮、神経伝達、消化液の材料として働いています。※¹⁴

ナトリウムが欠乏すると

ナトリウムは食塩として多く摂取していて、通常の食生活であれば欠乏することは有りません。多量の発汗や激しい下痢の場合などで欠乏することがあります。熱中症の際に水分と同時に塩分を取るのはこのためです。

  • 急性(熱中症・激しい下痢など):筋痙攣、めまい、意識障害、昏睡
  • 慢性:吐き気、食欲不振、倦怠感、低血圧

ナトリウムが過剰になると

  • 高血圧
  • 動脈硬化
  • 脳卒中
  • 腎疾患
  • 生活習慣病リスクUP
  • Caの吸収障害

ナトリウムが含まれる食品

  • ほとんどの食品に含まれている

インスタントカップヌードル、ファストフードなど味の濃い食べ物には要注意!

 

⑤カリウム K

98%は細胞内、2%は細胞外に存在する。ナトリウム Naとともに神経・筋肉の刺激伝達や細胞内・外液の浸透圧の調整や、血圧の調整、心筋などの筋収縮の調整、神経伝達、タンパク質・DNAの合成補助として働いています。※¹⁵

カリウムが欠乏すると

カリウムは多くの食品に含まれていて、通常の食生活であれば欠乏することは有りません。激しい嘔吐や下痢の場合などで欠乏することがあります。

  • 高血圧
  • 食欲不振
  • 筋力低下
  • 不整脈
  • 倦怠感、無気力  など

カリウムが過剰になると

腎機能が正常であれば、サプリメントなどを使用しない限りは過剰摂取の可能性は低いと言われています。腎機能が低い場合には、カリウムの排泄がうまくできず過剰となり様々な症状が現れます。

  • 高カリウム血症(筋力低下、麻痺、知覚異常、不整脈)

カリウムが含まれる食品

  • 海藻類(昆布、わかめ、ひじき)
  • 大豆
  • 野菜(きゅうり、ほうれん草)
  • 果物(バナナ、マンゴー、パパイヤ)
  • ナッツ類(ピスタチオ、アーモンド)  など

 

⑥硫黄

骨、皮膚、爪、髪などすべての細胞中に存在して体の組織を構成しています。ビタミンB1と結合して、脂質代謝に関与したり、有害金属の蓄積を防いだり、肝臓の胆汁の分泌を促進する働きがあります。

硫黄が欠乏すると

  • 皮膚炎
  • 肌荒れ
  • 脱毛
  • 爪が脆くなる
  • 解毒力の低下  など

硫黄が過剰になると

通常の食生活では過剰になることはありません。

  • めまい
  • 嘔吐
  • 悪心
  • 低血圧
  • 葉酸塩濃度低下
  • 尿中へのCa排泄促進  など

硫黄が含まれる食品

  • タンパク質(特に動物性食品)
  • 野菜(にんにく、にら、ネギ)
  • 肉類
  • 魚類
  • 卵  など

 

 

→知っておきたいミネラルの事②に続く

いま知っておきたい”ミネラル”のこと②

 

参考文献

※¹ミネラル-e-ヘルスネット(外部サイト)

※²ミネラルと人体-J-Stage(外部サイト)

※³金属と生体-J-Stage(外部サイト)

※⁴「日本人の食事摂取基準(2020年版)」ミネラル(多量ミネラル)(外部サイト)

※⁵「日本人の食事摂取基準(2020年版)」ミネラル(微量ミネラル)(外部サイト)

※⁶カルシウム-e-ヘルスネット(外部サイト)

※⁷カルシウムとビタミンD摂取量と糖尿病の関連について-予防研究グループ(外部サイト)

※⁸各種イオン飲料の引用によるエナメル質への影響-jstage(外部サイト)

※⁹清涼飲料水が象牙質の硬度に与える影響-jstage(外部サイト)

※¹⁰Micronutrients and the Premenstrual Syndrome: The Case for Calcium(外部サイト)

※¹¹マグネシウム-e-ヘルスネット(外部サイト)

※¹²マグネシウム-eJIM(外部サイト)

※¹³リン-e-ヘルスネット(外部サイト)

※¹⁴ナトリウム-e-ヘルスネット(外部サイト)

※¹⁵カリウム-e-ヘルスネット(外部サイト)

 

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