栄養療法

いま知っておきたい”ビタミン”のこと

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ビタミンは五大栄養素の一つで、タンパク質・脂質・炭水化物に比べると微量ではありますが、人が生きていくうえで欠かすことのできない栄養素です。しかし、体内では作ることが出来ないため、食事などからとるしかなく、ライフスタイルや食生活が乱れていると、ビタミンがより消耗され不足しがちとなり、身体の不調の原因が、実はビタミン不足しているからということも多くあります。

この記事では、そんなビタミンについて詳しく解説していきます。

 

ビタミンとは?

生物が生存することに必要な栄養素のうち、体内で十分な量を合成出来ない=食事で摂取するしかない栄養素で、炭水化物・タンパク質・脂質以外の有機化合物の総称と定義されています。※¹(栄養素としての無機物はミネラルと呼ばれます。ミネラルについては別の記事で解説します。)
生体内で必要量を作ることが出来ないものがビタミンと定義されるので、人にとってはビタミンでも他の生物にとってはビタミンではないものもあります。
例えば、ビタミンC(アスコルビン酸)。生体内の多くの代謝経路に必須であり、生物にとって欠かせない物質です。人は体内で必要量を作ることが出来ず食事からとるしかありませんが、実はほとんどの哺乳類では必要量を食事からとらなくても体内で合成することが出来ます。そのため、人や一部の生物以外ではビタミンC(アスコルビン酸)は、ビタミンには分類されていません。

 

ビタミンの機能

ビタミンには、体内で消化や代謝を行っている酵素をサポートする機能があります。

身体を動かすエネルギーを作ったり、食べたものを消化して栄養を取り入れたり、呼吸をしたりなど、人が生きていくために行われている多くの身体の機能に関わっています。そして、代謝には酵素が深くかかわっています。唾液に含まれている消化酵素のアミラーゼなど、体内で消化や代謝に関わる酵素は数千種類もあると言われていて、代謝などで行われる一連の化学反応は、酵素の力によって効率を高めることで正常に行われています。これらの酵素には、ビタミンやミネラルと結合しないと活動できないものがあります。特にビタミンB群やナイアシンは、体内の様々な酵素の活動に関わっていて、ビタミンやミネラルの欠乏は、栄養素を必須とする酵素の働きの低下させて、さらには代謝の低下をもたらすことになります。

ここでいう代謝とは、免疫、神経伝達、抗酸化、肌や髪の再生(ターンオーバー)など実に様々な体の機能の事で、ビタミンが不足することでこれらの機能が低下することで色々な影響が身体にあらわれます。

 

ビタミンの種類

ビタミンはその機能から分類されていて、人のビタミンは13種が認められています。また、水と油のどちらに溶けやすいかで、水溶性と脂溶性に分けられています。

脂溶性ビタミン※³

脂溶性ビタミンは脂肪(脂質)に溶け、肝臓や脂肪組織に蓄えられます。食物中の脂肪が脂溶性ビタミンの吸収を助けるため、低脂肪食を実践した結果として脂溶性ビタミンの欠乏症になることがあります。脂溶性ビタミンは加熱調理では破壊されないという特徴があります。※²

①ビタミンA

レチノール・レチナール・レチノイン酸がビタミンAと呼ばれます。また、β-カロテンはプロビタミンAといわれていて小腸の上皮細胞でビタミンAに変換されます。皮膚、粘膜、網膜などのターンオーバーの促進や、免疫、抗酸化などの代謝に関わっています。

ビタミンAが不足すると…成人が4か月ビタミンAを摂取してない場合でも肝臓に貯蔵されたビタミンAがあれば正常値が維持されるため現在ではあまり起きることは有りませんが、以下のようなことが起こります。

・角膜乾燥症からの失明(乳幼児)
・夜盲症(成人)
・皮膚の乾燥・角質化
・免疫能の低下
・粘膜上皮の乾燥による感染症  など

ビタミンAが過剰になると…主にサプリメントやレバーの大量摂取によるもので、β-カロテンの過剰摂取による障害は知られていません。

・頭痛
・肝臓障害
・皮膚障害
・脱毛
・筋肉痛  など

ビタミンAが豊富な食材…

・肝油・レバー・うなぎ・ミルク・卵  など

βカロテンが豊富な食材…

・ニンジン・ほうれん草・モロヘイヤ・かぼちゃ・パセリ  など

 

②ビタミンD

エルゴカルシフェロール・コレカルシフェロールなどがビタミンDと呼ばれます。また、人の皮膚にもプロビタミンDという形で存在していて、日光(紫外線)を浴びることで活性化してビタミンDとなります。腸や腎臓で、カルシウムやリンの吸収を促進して、骨の形成と成長の代謝に関わっています。また、ビタミンD低下はガンや心血管疾患、糖尿病などの疾患や、感染症のリスクが高まると言われていて、さらに、最近の研究では、新型コロナウイルス(COVID-19)やインフルエンザの感染・死亡リスクを減らす可能性も示唆されています。※⁴※⁵※⁶※⁷

ビタミンDが不足すると…ビタミンDの欠乏は比較的起こりやすく、日光に当たらなかったり、ビタミンDの含まれる食材を避けることで不足します。主に、冬季の日照時間の減少や、加齢とともに皮膚に色素沈着、日焼け止めによって、日光がさえぎられてビタミンDの生成が低下します。ビタミンDが不足しないためには、バランスのとれた食事と、1日1回15分~30分程度の日光浴が必要といわれています。※⁸

・くる病(子供)
・骨軟化症(成人)
・骨粗鬆症(高齢者)
・がんなどの生活習慣病リスク
・感染症リスク  など

ビタミンDが過剰になると…多量のビタミンD摂取を続けていても必ず健康障害が起こるわけではないと言われているが、以下の病気のリスクが高まる可能性もある※

・高カルシウム血症
・石灰化障害

ビタミンDが豊富な食材…

キノコ類・魚肉・魚類肝臓  など

 

③ビタミンE

トコフェロールなどがビタミンEと呼ばれます。ビタミンCと協力し、活性酸素を除去することで細胞を保護したり、免疫、血管拡張し血管内の血液凝固を防ぐなどの代謝に関わります。

ビタミンEが不足・過剰になると…通常の食生活ではほとんどどちらも起こりません。一部サプリメントの摂取や治療での血液凝固阻止薬との併用で出血傾向がみられることがあります。

ビタミンEが豊富な食材…

・小麦胚芽油やひまわり油などの植物油・ナッツ類・ほうれん草やブロッコリーなどの緑色野菜  など

 

④ビタミンK

フィロノキン、メナキノンなどがビタミンKと呼ばれます。血液凝固や骨の形成の代謝に関わっています。

ビタミンKが不足・過剰になると…通常の食生活ではほとんどどちらも起こりません。成人では腸内細菌からも一部合成されています。ビタミンKの欠乏によって新生児に出血障害が起こることがあります。

ビタミンKが豊富な食材…

・納豆・ブロッコリー・ほうれん草など多くの食物に含まれている

 

水溶性ビタミン※⁹

水溶性ビタミンは水に溶けます。尿から排泄され、脂溶性ビタミンよりも早く体外に排出される傾向があります。水溶性ビタミンは、調理などで破壊されやすく、生鮮食品を冷凍保存したり、強い光に当たらないようにしたり、野菜などの煮汁を使って料理することで水溶性ビタミンが失われることを防ぐことが出来ます。※²

①ビタミンB1(チアミン)

体内では酵素と結合して、ブドウ糖をエネルギーに変換するグルコース代謝に関わっています。身体をよく動かす人や、糖質を多く摂取する人はより多くのビタミンB1が必要となります。

ビタミンB1が不足すると…ビタミンB1が不足するとエネルギーを作ることが出来なくなります。・食欲不振、疲労、だるさといった不定愁訴や、重症化すると、脚気(足のむくみ、しびれなどの末梢神経障害)やウェルニッケ脳症の原因となります。

ビタミンB1が過剰になると…水溶性ビタミンのため過剰分は尿から排泄されます。

ビタミンB1が豊富な食材…

・米ぬか、小麦胚芽に多く、精白米にするとB1の含有量は少なくなります。その他・肉類・魚類・豆類  など

 

②ビタミンB2(リボフラビン)

糖質・タンパク質・脂質の代謝やエネルギー代謝、皮膚・爪・髪などの細胞の再生、発育促進に重要な役割を果たすため「発育のビタミン」とも呼ばれています。

ビタミンB2が不足すると…発育に関わっている為、子供の場合は不足すると成長障害をおこします。また、ビタミンB2は、皮膚などの代謝に関わっているので、不足すると口内炎、口角炎、舌炎、脂漏性皮膚炎などが起きます。

ビタミンB2が過剰になると…水溶性ビタミンのため過剰分は尿から排泄されます。

ビタミンB1が豊富な食材…

・アーモンド・ホルモン(レバー、ハツ)・海藻類・納豆・乳製品・卵  など

 

③ナイアシン

ニコチン酸とニコチンアミドの総称で、ビタミンB3とも呼ばれます。糖質・タンパク質・脂質の代謝やエネルギー代謝、脂肪酸やステロイドホルモンの生合成、ATP産生、DNAの修復や合成など幅広く代謝に関与しています。最近話題となっているNMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)もビタミンB3の一つであり、抗老化物質として注目されています。

ビタミンB3が不足すると…先進国では深刻な欠乏症をおこすことはほとんどありませんが、アルコール依存症、下痢、肝硬変のある方はナイアシン欠乏症になる事があります。

・ペラグラ(皮膚炎、下痢、精神障害)
・集中力の低下
・アレルギー
・関節炎
・統合失調症
・高脂血症  など

ビタミンB3が過剰になると…水溶性なのですぐに尿から排泄されますが、サプリなどで高容量を服用すると数時間、ナイアシンフラッシュと呼ばれる、顔・首・手足などの著名な紅潮や、ピリピリとした感覚が見られることがあります。

ビタミンB3が豊富な食材…

・カツオなどの魚類・レバー・鶏肉・キノコ類・穀類  など

 

④ビタミンB6

ピリドキサール、ピリドキシン、ピリドキサミンなどの総称です。ビタミンB6は体内で幅広い機能を果たしていて、100以上の酵素に関与しています。そのほとんどがタンパク質代謝に関わっているため、タンパク質を多くとる人はB6が欠乏しないように気を付ける必要があります。また、その他に炭水化物や脂質の代謝、認知機能の発達、糖代謝、免疫機能、ヘモグロビンの形成など多くの代謝に関わっています。

ビタミンB6が不足すると…ビタミンB6が単独で欠乏することはまれで、B12や葉酸などの不足と同時に起こります。腎疾患、糖尿病や吸収不良症候群でもB6欠乏症が起きます。

・貧血
・脳波の異常
・口唇の荒れやひび割れを伴う皮膚炎
・舌炎
・抑うつ
・免疫機能の低下  など

ビタミンB6が過剰になると…水溶性ビタミンのため過剰分は尿から排泄されます

ビタミンB6豊富な食材…

・魚類・牛レバー・ホルモン・じゃがいも  など

 

⑤ビタミンB12

コバルトを含む化合物で、総称してコバラミンと呼ばれる。アデノシルコバラミン、メチルコバラミン、ヒドロキシコバラミン、シアコバラミンなどの総称です。葉酸とともに骨髄で赤血球の形成、神経機能、DNA合成の代謝に関わっています。

ビタミンB12が不足すると…加齢に伴い胃酸の分泌が低下することによってビタミンB12の吸収低下が起きやすく不足しやすくなります。

・巨赤芽球性貧血
・神経疾患(しびれ・知覚異常など)  など

ビタミンB12が過剰になると…水溶性ビタミンのため過剰分は尿から排泄されます

ビタミンB12豊富な食材…

・魚類・肉類・卵・乳製品などの動物性食品に含まれている。植物性食品にはほとんど含まれておらず、ヴィーガンなどの菜食主義の方にとってはシリアル類が重要な供給源となります。

 

⑥葉酸塩

ビタミンM、ビタミンB9とも呼ばれます。母体に葉酸欠乏があると、胎児の神経管閉鎖障害(二分脊椎など)や無脳症を引き起こすとされ、妊娠の際に摂取されることが多いビタミンです。DNA代謝やアミノ酸代謝に関わっています。

食品に含まれる天然起源の葉酸塩(folate)と、強化食品やサプリメントに含まれる合成形態の葉酸(folic acid)の総称です。葉酸は、体内で代謝されメチル葉酸塩となることで活性化されます。しかし、この葉酸から葉酸塩への代謝を酵素の活性が低いことで、うまくできない方がいると言われています。代謝出来なかった葉酸は、体内に蓄積され葉酸塩のはたらきを阻害するともいわれていて、葉酸を取る際には、出来る限り食品から葉酸塩をとるか、サプリであれば葉酸塩のものを選ぶことをお勧めします。※¹⁰※¹¹

葉酸塩が不足すると…妊娠や授乳による要求量の増加や、アルコール中毒、メトレキサートなどの薬剤投与で起こりやすい。

・巨赤芽球性貧血
・免疫機能低下
・神経管閉鎖障害(胎児)
・無脳症(胎児)  など

葉酸塩が過剰になると…一部過剰摂取による疾患のリスクを高めると言われているが定かではない

葉酸塩が豊富な食材…

・濃緑色野菜(ほうれん草、アスパラガス、芽キャベツ、アボカド、ブロッコリーなど)・レバー・果物・クロレラ  など

 

⑦パントテン酸

ビタミンB5とも呼ばれていた。どこにでもあるという意味から名づけられた。脂質や糖質の代謝など体の中で極めて多くの代謝に関わっている。善玉コレステロール値を上げたり、ホルモンや抗体の産生にも関わっています。

パントテン酸が不足すると…多くの食品に含まれているので、不足することもあまりないと言われています。

・疲労感
・食欲不振
・便秘
・知覚異常  など

パントテン酸が過剰になると…水溶性ビタミンのため過剰分は尿から排泄されます

パントテン酸が豊富な食材…

・肉類・魚類・キノコ類・乳製品  など

 

⑧ビオチン

ビタミンB7ともよばれる。糖・脂質・アミノ酸などの代謝に関わり、皮膚や粘膜の維持、爪や髪の健康に深く関わっている。

ビオチンが不足すると…リウマチ・シェーグレン症候群・クローン病などの免疫不全症や、インスリンの分泌低下により1型・2型糖尿病リスクが高まると言われています。

・アトピー性皮膚炎や脱毛などの皮膚症状
・食欲不振
・抑うつ  など

ビオチンが過剰になると…水溶性ビタミンのため過剰分は尿から排泄されます

ビオチンが豊富な食材…

・キノコ類・肉類・魚介類・種実類・卵  など

 

⑨ビタミンC(アスコルビン酸)

皮膚、骨、血管など様々な細胞のコラーゲンを生成するタンパク質代謝に必須な栄養素です。また、毛細血管・歯・軟骨を正常に保つ働きや、皮膚のメラニン色素の生成を抑えて、日焼けを防ぐ効果、ストレスや風邪に対する抵抗力を上げる免疫機能や、活性酸素を除去し細胞の老化を保護する役割があります。その他にも多くの作用を持つことから、最近では新型コロナウイルス(COVID-19)の予防策の一つとしてビタミンCが多く取り上げられています。※¹²※¹³※¹⁴※¹⁵

ビタミンCが不足すると…免疫系の代謝はとても複雑で、多くの栄養素が必要といわれています。そのため、風邪やインフルエンザなどの感染症の時にはその必要量が増加します。逆に考えると感染症の予防の為には、栄養素が不足していると感染症のリスクが高まるという事で、日ごろから不足しないようなケアが必要となります。

・壊血病
・皮下出血
・貧血
・免疫力低下
・皮膚のしみ・しわ  など

ビタミンCが過剰になると…水溶性ビタミンのため過剰分は尿から排泄されます

ビタミンCが豊富な食材…

・果実類(特に柑橘系)・野菜類・じゃがいも  など

 

まとめ

ビタミンは、体内の様々な代謝で使用されていて、生きていくうえで欠かすことの出来ない栄養素です。しかし、体内では作り出すことが出来ず食事から取り入れるしかできません。食生活やライフスタイルの乱れによって、ビタミンが不足したり、バランスが乱れることで、体調や気分がすぐれない原因となったり、それにより代謝が落ちることで免疫力の低下や消化機能の低下など様々な影響をもたらします。
疲れているときや、ストレスのかかっているときはその分ビタミンを使用していると考えて普段の生活を改善してみることをお勧めします。
また、当院では、高濃度ビタミンC点滴栄養解析する検査や、各種健康相談も行っておりますので、気になる方は是非一度ご相談ください。

 

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参考文献

※¹ビタミン-e-ヘルスネット(外部サイト)

※²ビタミンの概要-MSDマニュアル家庭版(外部サイト)

※³脂溶性ビタミン-厚生労働省(外部サイト)

※⁴The role of vitamin D in the prevention of coronavirus disease 2019 infection and mortality(外部サイト)

※⁵Association of Vitamin D Status and Other Clinical Characteristics With COVID-19 Test Results(外部サイト)

※⁶Vitamin D Supplements Could Reduce Risk of Influenza and COVID-19 Infection and Death(外部サイト)

※⁷Evidence that Vitamin D Supplementation Could Reduce Risk of Influenza and COVID-19 Infections and Deaths(外部サイト)

※⁸体内で必要とするビタミンD生成に要する日照時間(外部サイト)

※⁹水溶性ビタミン-厚生労働省(外部サイト)

※¹⁰葉酸塩-日本微量栄養素情報センター(外部サイト)

※¹¹葉酸のリスクおよび有益性(外部サイト)

※¹²New developments and novel therapeutic perspectives for vitamin C(外部サイト)

※¹³ビタミンC-eJIM厚生労働省(外部サイト)

※¹⁴Shanghai Government Officially Recommends Vitamin C for COVID-19(外部サイト)

※¹⁵新型コロナウイルス予防策としての選択肢-オーソモレキュラー医学会(外部サイト)

 

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